『ドラッグの誕生―― 一九世紀フランスの〈犯罪・狂気・病〉』

渡邊 拓也 著

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今なお闊歩する〈正常〉の亡霊。
なぜ、それまで医薬品であった大麻・阿片・モルヒネは〈ドラッグ〉となったのか。
彼らに〈逸脱者〉の烙印を押したのは誰か。
一九世紀フランスの社会病理を読み解き、現在に至る〈排除〉の起源を探る。

一九二五年、ジュネーヴ条約によって「危険薬物」が定義・規制され、薬物使用者は犯罪者となった。
〈ドラッグの誕生〉である。

我々はここで問いを発しなければならない。
なぜ、逸脱化と排除は起こるのか。
その裏側に隠された〈正常〉とは何か――。

近代社会に導入された公衆衛生の概念と、進歩史観に基づく国家計画の下、薬物中毒者が社会的逸脱を経て犯罪者となっていく過程を鮮やかに描き出す。