『第一次世界大戦への道――破局は避けられなかったのか 』

ウィリアム・マリガン 著
赤木 完爾 訳
今野 茂充 訳

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▼大国間の平和はなぜ失われたのか。

普仏戦争(1870~71年)以降、多くの深刻な国際危機が生じたにもかかわらず、ヨーロッパでは40年にわたって大国間の平和が維持された。なぜ、1914年7月の危機を引き金に「史上初の総力戦」とも呼ばれる全面戦争へと発展してしまったのか。七月危機と、一連のモロッコ危機やバルカン戦争といったそれ以前の国際危機には、どのような違いがあったのか。大国間の全面戦争を望んでいなかったにもかかわらず、なぜ主要国の政治指導者は大戦争のリスクを冒したのか。

気鋭の歴史家ウィリアム・マリガンが、1914年の夏にヨーロッパの大国間の平和維持メカニズムが崩壊してしまった経緯と、第一次世界大戦が「不可避の戦争」ではなかった理由を、各国の国内情勢、外交の諸相、指導者の言動、軍部の計画や認識、世論の動向などの分析を通じて明快に解き明かす。

大国の戦略や思惑が世界規模で複雑に交錯し、過激な世論や各国間の経済関係の動向が大きな存在感を持つ現代にこそ、学ぶべき「歴史の教訓」がちりばめられた一冊。

▼ William Mulligan, The Origins of the First World War, 2nd editon( Cambridge University Press, 2017 ) の翻訳。